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このページでは、研修に関しての私の考えや思いを、友人のセミナーコンサルタント
である水野浩志さんとの対談の形式で、皆様にご紹介したいと思います。


水野氏のプロフィール
株式会社マイルストーン代表取締役。昭和39年千葉県生まれ。
自社開催セミナーの第一人者であり、カリスマ的存在でもある。
「高品質セミナー作成講座」「1分間自己アピール講座」「文章作成強化講座」
などの独自開発セミナーでは年間参加者1,000名をゆうに超える人気を博す。
ロジカルかつエモーショナルに伝えることを信条に、主に個人向けセミナーで
活躍する新進気鋭のセミナーコンサルタント。

なぜベイスマネジメントなのか?

研修講師として真殿さんがいちばん大事にしていることは何ですか。

基礎(base)ですね。社名をベイス・マネジメントとしたのも、その想いからです。周囲にはよくベーシック(basic)・マネジメントの間違いではないかと言われますが、baseという言葉にこだわりまして、この社名にしました。

敢えて聞いてみます。なぜ基礎が重要だと考えるのですか。

基礎ができてないところに応用はききません。どんなに家が立派でも土台がいい加減ではいつか倒壊してしまう。 音楽もスポーツも研修も同じです。基礎=基本を徹底して訓練することが上達の早道だと信じています。 でも意外とここが疎かにされ、流行や他社のマネに走る企業が少なくない。 ただアプローチの仕方は飽きがこないように工夫も必要です。水野さんは、「基礎」をどう位置づけていますか。

私の場合は、「基礎」ではなく「基盤」という言葉で位置づけています。真殿さんは、企業向けの研修講師ですが、私の場合、どちらかというと、個人ブランドでビジネスをしている人を対象とした講師業です。

水野さんにとっての「基盤」とはどういうものですか。

人が生きて成長していく上で、意識して克服し行動し、成し遂げたこと。成し遂げた後に、無意識になっていったこと。それを「基盤」と呼んでいます。例えば、自転車に乗るという行為は、最初の段階では、努力や克服、成し遂げなどが必要になりますが、いったん成した後は、完全に無意識の領域に溶けていきます。これなど基盤と呼ぶにふさわしいでしょう。

今は、自転車の話で説明なさいましたが、仕事や対人コミュニケーションにおいても、そのような形で「基盤」となるものがあるとお考えですか。

あると思います。ただし自転車のような技術における「基盤」は、万人に共通ですが、一方、仕事やコミュニケーションの「基盤」は、人ごとに違います。また人生経験を重ねるにつれ、「基盤」が厚くなり、裾野も広くなります。

経験を重ねるにつれ、基盤の裾野が広がるというのは、同感ですね。私が重要視する「基礎」という概念においても、新入社員にとっての「基礎」と係長、課長にとっての「基礎」とでは、自ずと異なりますから。

真殿さんの研修においては、その「基礎」の重要性をどのように伝えていくのですか。

誰もが仕事の役割、経験を通して人間形成、能力強化をはかります。今までの積み重ねの上に新しい知識やスキルをさらに積み上げていくわけです。だが全員がキチンと消化できているかというとそうでもない。要領のよさだけで何とか乗り切ってきた、という例も多い。だから節目ごとに見つめなおし、確実に自分のものとしていくことが必要です。自ら気づき、考え、発信する…そういう場をできるだけ多く与えていくようにしています。

水野氏による、真殿の研修への評価

水野さんは、私の研修を見て、どう思われましたか?

この人は、暗黙知の言語化に長けている人だなという印象を持ちました。組織の中で埋もれている暗黙知をまとめあげて、組織の中に共通言語を作っていこうとしているのだなと思いました。

水野さんのセミナーの場合、「暗黙知の言語化」はどう位置づけているのですか?

私のセミナーの場合でも「暗黙知の言語化」は、行います。ただし私の場合は「組織」ではなく「個人」を対象としたセミナーであり、目的は「個人のマインドを上げること」です。ですから真殿さんのセミナーを見学した際は、「組織内の共通言語を作る」という過程が新鮮に思えました。

印象に残る研修経験

真殿さんのこれまでの講師経験の中で、あの時は大変だったなあという経験などあれば教えてください。

某大手電機メーカーの依頼で「目標管理」の仕事を実施した時はちょっと大変でした。対象は技術系管理職です。  人事部長の挨拶後、受講者から「目標管理って導入するの決まったんですか?」という質問がでました。実は質問というより突き上げに近かったのですが、どうも対象者に目標管理導入の背景を十分に説明してなかったようです。
私もまさか、という感じでしたが、午前中いっぱい背景説明をして午後から仕切りなおしでスタートになりました。研修そのものはそのあと滞りなく進みましたが、ちょっと冷や汗ものでしたね。念には念の確認が大事だな、とつくづく思いました。

それは貴重な経験でしたね。それ以外では何か印象深い経験はありますか?

ある旅行会社の研修も思い出深いですね。その時は、その会社の社長に「このままではいけない。何とか会社を変えたい。社員にもっと危機意識をもってほしい」という思いが非常に強い、しかし、どこから手をつければよいか分からないという状況でした。その時は、その社長と膝詰めでじっくり話し合い、まず社長の思いをヒアリングすることから始めました。社長の頭の中にある「問題意識」や「もっていきたい姿」を引き出すこと。この作業を経ずに、社員研修を成立させることはできないと考えました。社長も私を信頼してくれて正直かつ詳細に状況を話してくれました。
その結果、社長の最も憂慮していることは「言われたことしかやらない、改善のない仕事への向き方」にあると分かったので、研修メニューは「仕事の価値再認識」と「仕事における定量把握の重要性」を中心テーマに仮設定しました。
研修前にとった受講者アンケートで、そのあたりのことが希薄であることを確信しましたね。

今の話を聞いて思ったのですが、おそらく真殿さんは、組織の暗黙知を言語化するだけでなく、経営者の思いや意向を言語化すること。それを社員に伝わるかたちに翻訳することにも長けているのでしょう。この点は、私としても取り入れたいノウハウです。

ありがとうございます。私の方としても、水野さんの「人の気持ちを鼓舞するノウハウ」を自分の研修には大いに取り入れていきたいですね。水野さんと私は対象が個人か組織かという違いはありますが、どちらも「基礎・基盤」に着目しているという点は共通していると思います。今後も互いに研鑽して、高品質の研修を提供していきたいですね。

同感です。今後も互いに研鑽し合いましょう。

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